神戸・垂水区再発見〈五色塚古墳〉 |
18きっぷは年に3回利用期間があるけれど、僕は中でも夏季が一番好きだ。
夏空の下、弓なりに続く海岸線に沿って古い港町へ向かうあの旅情ったらもう、たまらん。
しかし、だ。
せっかく18きっぷが使える時期なのに、ワケあってしばらく遠出ができない。
8月後半には18きっぷでガンガン行けると思うからとりあえずそれまでの辛抱だが、悔しい。実に悔しい。夏の盛りに遠くの町に行けないなんて、実に悔しい。ああ悔しい。
ならば、だ。
しばらくは近場で旅を楽しもう! という結論に至った。
幸いにして関西は歴史的には本邦最強に見どころの多いエリアだ。
そして自分の住む垂水区は、知っているようで実はあまり知らないスポットが結構ある。
こんな時こそ、自分の住む土地をしっかりと見直すチャンスなのではないか?
うん、その通りだ。ビバ!関西! ビバ!垂水区!
というわけで、どんより気味だった気分も一転、俄然わくわくしながら垂水区をめぐる冒険にでかけたのであった…。
垂水のアウトレットやJR神戸線または山陽電車の車窓から見たことのある人も多いと思うが、実際に訪れたことのある人はそれほど多くないはず。垂水駅方面から西側の坂を上り、ごくフツーの住宅街を通ってアクセス。
ならばさっそく上に上がってみよう。ステアウェイトゥヘヴン。
おっちゃんの言う通りなかなかナイスビュー。橋の向かって左手は大阪湾、右手に進めば瀬戸内海。こうして見ると、明石海峡大橋は瀬戸内海へのゲートのようにも見える。
舞子方面。
古墳のすぐ下をJRが走る。手前側が山陽電車の線路。
五色塚古墳は全長194m、全国的に見れば40番目前後だが兵庫県下では最大の古墳だ。説明書きにもあるが、このあたりの海陸交通要衝を支配した豪族の墓だと考えられている。確かにこの見晴らしは権力者の威容を示すのに相応しい。ここに立って、橋もビルもない古代の緑の海峡の景色を妄想してみるのも面白い。
後円部分にも上ってみよう。お、ここはさらに見晴らしがいいぞ。
東を見れば須磨の鉢伏山。約800年前に源義経が平家に奇襲攻撃を仕掛けた一ノ谷はあのふもとのあたりだ。
対岸の淡路島。ハイウェイオアシスもくっきり見える。
現在の葺石。
当初は正確に築造当時の形に復元しようとしていたらしいが、工事中の破損や保存の難しさから盛り土をしたり新しい葺石を使うなどして、ここまでピカピカにリニューアルされた。どうりでちょっと作り物感があるわけだ。岡山の造山古墳なんて草木は生え放題、すぐ際まで人家があるしほとんどそのへんの裏山状態だったけど、あれはあれで野趣に富んでいて良かったな。
まあでも、こっちはこっちで、ここまで大規模な復元工事を行ったことに、ロマンを感じると言えば感じる。
埴輪と海峡。この埴輪も調査に基づいた復元だ。
ふもとには書き割りみたいなアウトレット。
線路を隔てて、まるで違う二つの時間が流れている。ハニワとジルスチュアート、双方は永遠に交わり合うことはないであろう…
以上、五色塚古墳でした。
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