備前焼の里・伊部と倉敷夜景色(後編) |
備前焼だらけの天津神社の奥に進むと、何やらびっしりと異形のものたちが…
何かのまじないのようでもあり、どこかプリミティブな趣きさえ漂っている。ちょっと怖いような気もする。
こんな場所があったとは…。
昨年北米滞在を経験してから、余計にこうした日本の「得体の知れなさ」みたいなものに強く心惹かれるようになった。
歴史風土に培われた、入り組んだ精神性や、異界へと通じる暗闇。
そうしたものはどこか遠いところで、僕自身ともしっかりと繋がっているような気がする。
よくわからんけど、なんとなく。
神社の奥には林の中へ通じる道がある。やたらと蚊が多くてかなわん…。
展望台からは、山並みに挟まれるようにしてぎゅっと集まる伊部の町を一望のもとに見渡せる。風も少し涼しく感じる。
焼き物の町らしい風情だ。
ツクツクボウシの蝉時雨を聞きながら山を下り、再び町を散策。
これは天保窯という江戸時代の天保年間から太平洋戦争中まで使われていたという古い窯。なんだか古代遺跡みたいだ。
色づくのを待つ柿の実。
山の方ではセミの残党たちが頑張っているけれど、近くの茂みでは野生のスズムシがさかんに鳴いている。
本格的な秋ももうすぐだ。
不老川沿いに整備された公園。
せせらぎの音以外は何も聞こえない。
…と思いきや、山側を貫く高架から時折ゴーッという新幹線が走り抜けて行く音で情緒ぶちこわし。
のぞみに乗ったビジネスパーソンたちは、こんな静かな焼き物の里の上を通ったことも知らずに、時速300キロで過ぎ去って行くんだな。
気の毒なことだ。
僕は全然詳しくないのでよく分からないが、町には陶芸家の名前を掲げたお店・ギャラリーがあちこちにある。陶芸家によっていろいろと作風が違うもんなのかな?
今は(たぶん)使われていない煙突。
ショーウィンドウの中ですやすやと眠る猫ちゃん。
この夏もそれぞれの町でいろんな猫たちに会ったなあ。猫って本当、どこにでもいる。
伊部の町を去る前に、せっかく備前焼の町に来たのだからとおみやげを買いに橋本画廊というお店へ。
お店の人に聞きながら小皿とコップを買った。もちろん、お求めやすいお値段で!(by松尾伴内)
ギリギリ間に合うか間に合わないかの瀬戸際で駅にダッシュ!!
せっかくの18きっぷなので、ここから倉敷まで行くことに。
倉敷駅に着いたのは夕方で、燃えるような夕焼けが広がっていた。
ここまで鮮やかな夕焼けは久々だな。
倉敷の町は結構久しぶりだ。
駅の北口にあった倉敷チボリ公園の跡地には、アウトレットモールなど大型商業施設がオープンしている。
倉敷駅前。
倉敷は中四国では広島、岡山、松山についで4位の人口を有する大きな街だが、中心が分散しているので駅前はあまり大きくない。
駅から有名な美観地区までは徒歩10〜15分くらい。
金沢などと並び日本の町並み観光では最もメジャーな場所のひとつで、歩いていると確かにかなりの規模だ。整備されすぎて生活感があまりなくなっているけれど、まあそれはそれ。
あまり満足のいく写真は撮れなかったが、古い町並みの夜景をなんぼか載せておこう。
メジャー過ぎて足が遠のいていた倉敷だが、夜にぶらぶらしてみるとやっぱりきれいだ。そのうち明るい時間にも再訪したい。大原美術館も行きたいしね。
(おまけ)
伊部で買った備前焼。
おわり
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