アメリカ横断旅行記(23)絶望のフェニックスから不夜城ラスベガスへ |
11月14日の朝。
フロントまで行くと、兄ちゃんは何も言わずに首を横に振るばかり。
やっぱりだめか…。
それからこの日、アリゾナ砂漠博物館ととある教会(高校美術展に出す作品の題材にしたという個人的思い入れがある)の現地ツアーを申し込んでたんだけど、もちろんこれはキャンセル。
ピックアップに来てくれたツアー会社のおっちゃんに「残念だけど、財布をタクシーに忘れて、ここで電話を待たなきゃならないんです。だから、僕は置いて行ってください」と言うと、「そりゃあ気の毒だな。幸運を」と言ってバンは去って行った。あっさりしたものだ。
現金は分散させて残ったとは言っても、この先のグランドキャニオンツアーとロサンゼルスの宿はカードで払えないから、残しておく必要がある。
で、それを差し引いてみたら、現金たったの80ドルくらいしか残らないことが分かって愕然!
食事はファストフードに決定だ。こんなことならテキサスで気前良くプライムリブかなんかのステーキを豪勢に食べておくんだった。
なんて嘆いてもアフターフェスティバル。
ホテルにずっといても気が滅入るだけなので、昨晩タクシーに乗ったバスディーポ前まで行ってみることにした。同じタクシーがまたそこにやってくるかも知れないという、わずかな望みを抱いて。
現場までは5km以上あるけど、現金を使いたくないので徒歩で行くしかない。
まったく、やれやれだ。
雰囲気もどこかリゾート地っぽい明るさがある。
でも僕の心の中だけは、冬のシアトルのごとく陰鬱な雨に降られてどんより。
待っているタクシーに事情を話す。
「昨日ここで乗ったタクシーでダウンタウンまで乗って、その時に財布を忘れちゃったんです」
「おお、そりゃあファ○クだな」
「そのタクシーまた来ますかねえ?」
「ああ、来るんじゃないかな。いや、分からんけど。待つだけ待ってみなよ」
おっさんの言う通り、とりあえず待つだけ待ってみたけど、そのタクシーは結局現れなかった。
何か連絡が入ってるかもと期待して、またホテルに戻ってみても何も進展はなし。
このようにして不毛な一日が終わり、夜になった。
11月15日。
フェニックスを発つ日だ。
バスディーポでまた別の運転手に色々聞いてみたけど、やはり財布の帰還は絶望的となり、完全に諦めた。
さらば俺の財布、レストインピース。
財布をなくした後に向かうのがラスベガスというところが、皮肉が効いている。
長距離を陸路で旅していると、それぞれの地域でガラッと植物の感じが変わるから面白い。
もう疲れたよパトラッシュ〜
ここで恒例の地図を確認しておこう。
Hがフォートワース、Iがエルパソ、Jがフェニックス、Kが現在地ラスベガス。
ついにビクトリアと同じ西海岸のタイムゾーンまで戻ってきた。旅もいよいよ終盤。
さあ、ラスベガスだ!!
すべてがド派手で大仰で、そして品がない。
財布のない僕は、この街にいる人々のテンションにまったくついて行けなかった。頼むから休ませてくれ…
そんなみみっちい僕が今宵泊まるのはなんと…
このモンテカルロ!!
モナコをイメージしたゴージャスなカジノホテルなのだ!!!
ラスベガスでは、ホテルのカジノでお金を落とさせるために宿泊は抑えめにしてあるんだそうだ(時期によってかなり変わるらしいけど)。
いや、ホテルがどうのとか、そんなことはこの際どうでもいい。
僕はこのホテルで代用クレジットカードを受け取ることになっているのだ。
「そのようなものは受け取ってございませんが…」などとおっしゃる。
「そんなはずはないです。カード会社が今朝には着くと…」
「では、お調べ致しますので少々お待ちいただけますか?」
そう言ってどこかへ去るフロントのお兄さん。
ああ!胃に悪いぜ…みんなで寄ってたかって僕をイジメているのか?
天井の模様を眺めているとトビーが戻って来る。
「こちらですね」
良かった。これで命拾いした。
よし、カードが戻ったからには…、
カジノで大儲けして100倍返しだ!!!
…とはならず、僕は大人しくカメラを持って夜景を撮りに出かけた。
実を言うと、僕は昔からギャンブルには毛ほども興味がなくて、というかトランプさえまともにできない超ゲーム下手なので、ラスベガスに来たって特に面白くもなんともないのである。
そのラスベガス写真はまた次回にご紹介。
ラスベガスの曲なんて思いつかないので、今日はビージーズのラスベガスでのライブから、名曲 How deep is your love…
つづく
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