香川・丸亀と塩飽本島を歩く(4)ふたつの古い家 |
笠島まち並保存地区をぶらぶら。
ちょっと整えさえすれば、そのまま時代劇のセットに使えそうな町並みが続く。
笠島城の跡(石垣なんかは残っていなくて、ただの山の上の広場みたいな感じだった)に上ってから、マッチョ通りをうろついていると、おばあさんが「冷たいお茶でも飲みますか?」と声をかけてくれた。
このおばあさんは、まち並み保存センターとして公開されている真木(さなぎ)邸の管理をされている方で、僕は広間に腰掛けて冷たいお茶をいただきながら、町並みやこの真木邸のお話をうかがった。
真木邸は、200円でガイド付きの見学をすることができるので、このおばあさんに案内していただいた。塩飽大工の技巧や他では見られない工夫など、面白いポイントを色々と見ることができる。
今まで多くの古い建物を見てきたけれど、良い状態で保たれている古い建物というのは必ず、その建物に敬意や愛着を持った人々によって管理されている。建築物は言わば生き物みたいなもので、そういう「思い」を伴って正しく管理さえされれば、どれほど古い建物であっても滅びることはないのではないかと思う。裏を返せば、見捨てられた空き家は、どれほど新しくても急速に荒廃していくことになる。
井戸。
つるべを使って水汲みをさせてもらった。山からの地下水をたたえているので、夏でもひんやりと冷たかった。
壁でのんびりしていたヤブキリ。
キリギリスの近縁種で、樹上に生息し肉食性が強い(僕はかつて昆虫少年だったので、こういうのを見つけると素通りできないのです。いまだに)。
おばあさんの勧めで、すぐ近くにあるもう一軒の公開物件、吉田邸へ。
吉田さんは、僕が乗って来た本島汽船の社長さんでもあるのだけれど、感じのいい腰の低い方だった。
この吉田邸を公開するようになったのは割と最近なのだそうだ。
風通しが良い広間。
あー、いいなあ。こんな家で一夏過ごしたいなあ。ある意味、リッツやらマンダリンオリエンタルなんかに泊まるよりも贅沢だ。…とか思うのは僕だけでしょうか。
有田焼のおトイレ。
大変立派なものでございました。
刀のつばをはめ込んだ欄間。他では見たことのない意匠だ。
トトロに出てくるような廊下。
気分は渡辺篤史である。小林製薬の糸ようじ!
吉田さんにお礼を言って外に出ると、通りでまた真木邸のおばあさんと会った。
本島は予想以上にいいところだった、もう一度ぜひ訪れたいと僕が言うと、「本島の秋はいいですよ。静かで、気持ちが良くって。またお友達を連れていらっしゃったらええわ」とおばあさんは言った。
うん、秋に限らず、この島にはまた必ず来よう。言ってしまえば何もない島だけれど、僕が求めているものがここには確かにある。時々、静かな時を過ごすためにこの島に渡るというのも、悪くないな。
笠島の古い町をあとにして、自転車旅を再開。
いっそのこと、本島を一周してみることにしよう。
このあと僕はまた素敵な景色に出会うのだけれど、それはまた次回。
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