カナダ・ビクトリアの生活&観光(1)ビクトリアという街 |
カナダのビクトリアという街で、2012年の1年弱を過ごした。
はじめの3ヶ月は語学学校に通い、あとはぶらぶらしたり、アメリカに旅したり、フレンチレストランで働いたりした。
帰国してもう半年くらいになるけれど、今でも時々あの街で過ごした日々のことを思い出す。出会った温かい人々のことや、バンクーバー島の美しい森や穏やかな海、それから静かに降り続く雨のことなんかを(ティファニーで朝食を風)。
外国で暮らしたわけだから、もちろんうまくいかないことや面白くないこともいっぱいあった。
それでも今残っているのは、ただきらきらと光の中にあるようなビクトリアの街の景色ばかりだ。
本土から海峡で切り離されたバンクーバー島(島といっても四国くらいある)の南端にある街だ。人口は約34万人。船でカナダ西部最大の都市バンクーバーやアメリカのシアトルへも簡単にアクセスできる。冬は雨の多い憂鬱な天気だが、夏はカラッと爽やかで本当に気持ちがいい。夏はビクトリア最大の観光シーズンで、港に大型客船が入りインナーハーバーやガバメントストリートは観光客で賑わう。
ビクトリアは北米で最もイギリスの影響を色濃く受け継いでいる街だ。
大英帝国のブリティッシュコロンビア植民地時代に、南から迫るアメリカの脅威に対抗してイギリス化が進んだ。そのため今でもガーデニングやアフタヌーンティーといったイギリス趣味が市民生活に受け継がれている。
ただ言葉に関してはその限りではなくて、いくつかイギリス的な表記(centreとか)がある以外は完全なアメリカ寄りの英語だった。映画や音楽で親しんでいる英語なので入りやすいけれど、慣れるまではなかなか聞き取れない。
留学に関して、もし特定のどこかでなくてはダメというこだわりがないなら、その行き先としてビクトリアほど素晴らしいところはないと思う。
都会のエキサイティングさはないけれど、穏やかで文化的で治安も良くて英語もきれいで言うことはない。語学学校に入る際気になる日本人の数も、バンクーバーなど他都市と比べて圧倒的に少ない。逆に寂しくなった時には日本人コミュニティの拠点となるような日本食レストランやグロサリーもある。
あえてビクトリアでマイナスになりそうな点を挙げるとすれば、
・冬に天気が悪くて憂鬱
・カモメが多くて時々フンが降ってくる
・ダウンタウンには街の規模の割にホームレスが多い
・遊ぶ所や店が少なくて退屈
…といったところだろうか。
でも普通に暮らしているとこんなことは特に気にならなくなってくるし、日本の大都市での不愉快なことの多さに比べたら精神的にはずっといい。
そして、僕がビクトリアで最も気に入ったのが、「人間の良さ」だ。
北米で色んな街を訪れたけれど、ビクトリアの人間の良さは群を抜いている。
個人主義でベタベタしすぎることはないけれど、心は温かく、積極的にポジティブにコミュニケーションを取ろうとする。マイノリティに対しても寛容で、僕自身アジア人であることで嫌な思いをしたことは一度もない。「英語さえそれなりにしゃべれれば」という条件付きではあるけれど、誰もが分け隔てなく接するし、権威や身分や年齢で態度を変えたりしない西海岸特有のフラットさがある。お店や街角で知らない人がちょっとした会話をするのはありふれたことだし、困っている人がいれば誰もが手を差し伸べようとする。
大げさな言い方をするようだけれど、僕はこういう社会に人間の文明のあるべき到達点というか、あるべき成熟の仕方を見た気がした。
もちろん、この社会にはこの社会なりに抱えている問題がある。僕だってビクトリアがパラダイスだと思うほどナイーブではない。
けれど、特に最近社会に不寛容が蔓延する日本の現状を見るにつけ、ビクトリアの人々のコミュニケーションのあり方がとてもまぶしく見える。世界で勝つとか経済成長とかもあれだけど、もっと直していかなきゃならないことがあるんじゃないのかな…なんて思ってしまう。
おっと、話が逸れてしまった。
とにかくまあ、そんなわけでビクトリアという街は長期滞在先としておすすめだ。
当ブログでは今後不定期で、ビクトリアの生活や感じたこと、おいしい店やおすすめ観光スポットなどを紹介していきたいと思います。
お楽しみに。
にほんブログ村