上海・蘇州の旅(3 ) 上海到着、驚いたこといろいろ。 |
かなり早めに着いてチェックインを済ませ、とりあえず蕎麦を食べ、出国。
飛行機は定刻通り離陸し、ほどなくして淡路島の真上を通った。
実家がばっちり見えたのでちょっと面白かった。なんだかgoogle earthみたいだ。
時間的に機内食はないのかと思ってたら、ちゃんと出た。蕎麦食べなきゃ良かった…。
しかしいつも僕は思うんだけれど、1万メートル上空で人間がきちんと列に座ってちまちま食事をしているのって、冷静に考えるとすごく喜劇じみたことのような気がしてくる。あらゆる面で飛行機という乗り物は、なんだか壮大な冗談みたいなところがある。
たった2時間ほどで、窓の外に薄汚れた中国大陸が見えてくる。西日本と東アジアの諸都市は本当にご近所なのだ。
一般に旅好きというのは、出発の時からテンションが上がるものなのかも知れない。でも僕の場合はそうではなくて、むしろ始まりの段階では面白くもなんともないことが多い。「やれやれ、本当に行くんだな」という感じだ。それががらっと変わるのは、目的地に着いて、そのランドマークが見えた時だ。
今回は、こんな風に陸家嘴のビル群と東方明珠塔が見えた時。
蛇行する黄埔江と、大気汚染(?)に煙るビル群。上海に来た気分が盛り上がる。
無事に浦東国際空港に着き、入国。機内持ち込みだけなのですんなりロビーへ。
実を言うと一人での海外は3年半前のアメリカ横断以来なので、ちょっと緊張する。しかもアメリカやカナダではなく中国だ。
でも久しぶりのこういう緊張感が、日常で弛緩しがちだった脳にいい刺激を与えてくれる。大げさな言い方をするなら、やっぱり冒険は必要なのだ。
市内までタクシーで行くか地下鉄で行くかうろうろ迷ったけど、結局地下鉄で行くことにした。
安いし(5元=約120円)、街に身体を馴染ませるにもいい。ただ、地下鉄は乗り換えが要るのと、混み合うことが多いので、荷物が多い場合はタクシーを勧める。
上海の地下鉄の切符は、タッチパネル式の券売機でまず何号線かを選び、駅名を選んで(漢字だからすぐわかる)お金を入れて買う仕組み。簡単だ。どこの駅でも乗る前にいちいち荷物のX線検査をするのが面倒臭いが、それを除けば上海の地下鉄はとても機能的で使いやすい。路線は東京メトロほど悲劇的に複雑ではなく、大阪市営地下鉄くらいの感じで乗り換えも東京ほど歩かないですむ。
空港から市内までの車内で面白く思ったことがいくつかある。
まずゆるいファンファーレみたいな音楽がかかっていたこと。それから車内でビラを配るおっちゃんがいたこと(ものすごくぞんざいな配り方だ)。携帯電話で大声でしゃべっている人が結構いたこと。それから車内ビジョンに市民マナーの向上を呼びかける映像や、謎の猫動画が流れたこと。かわいい猫がひたすらじゃれる微笑ましい動画だったんだけど、あれは一体何だったんだろう? よくわからない。
誰も彼もスマホをいじっているのは日本と同じだが、駅に着いて扉が開いた時の押し合いへし合いはやはり中国という感じ。みんな我先に行こうとするから、気弱な人は目的地の駅で降りられないかも知れない。
上海万博以降改善されたとは言えマナーの悪さには当局も手を焼いているらしく、駅構内にはこんな啓発のサインがたくさん貼られている。
こういう秩序のなさを「遅れている」と笑うことは簡単だけど、日本も東京五輪や大阪万博前後まではひどかったわけだし、中国も今後(おそらくは上海から波及する形で)改善していくだろうから、「その点で日本は素晴らしい」みたいな安っぽい自己肯定をいつまでも言ってはいられないだろう。
途中の広蘭路で乗り換え(車内の路線図にランプが灯るし、英語アナウンスがあるから誰でもわかる)て、トータル1時間くらいで中心街の南京東路(ナンジントンルー)に到着。
地上に出たら、これぞチャイナなネオン群。
上海にはいくつか繁華街があるけれど、南京東路は一番大きくてベタなノリの繁華街だ。歩いているのはお上りさん的な観光客ばかりで、地元のオシャレな若者はたぶんあまり来ないのではないかと思う。
香港で言うチムサアチョイみたいなところだが、雰囲気としては大陸的でずっと垢抜けない。
南京東路からホテルのある豫園まで、夕暮れの上海をぶらぶら散歩しよう。
お、東方明珠塔!
僕はとにかくこのヘンテコなタワーが好きだ。東京スカイツリーよりよっぽど楽しい。
このごてごてした感じがいかにも上海。たしか山東中路。
久しぶりに(と言っても前回はツアーだったので街場に分け入ることもあまりなかったのだけれど)上海の街を歩いてみると、その交通事情にいささか圧倒される。
車はクラクションを鳴らしまくりながら進み、人々は信号などお構い無しに、縦横無尽に気の赴くまま道を渡る。とてもラディカルだ。日本のように歩きスマホなんかしていたら即死である。よく事故が多発しないなと感心する(あるいは多発しているのかも知れないけれど)が、たぶんそれはお互いがお互いを「信用していない」からなのではないかと思う。
だから車も歩行者も、「やつらはいつ出てくるかわからんからな」という感じで警戒し、かえって安全(?)なのかも知れない。日本だと「歩行者は出てこないもの」という前提があるから、車はかえってスピードを緩めない、という面もなくはないと思う。どっちもあまり肯定はできないけどね。
それから、おっさんたちがところかまわず「カーッ、ペッ!」と痰を吐いているのも衝撃だった。いつでも、どこでも。それに加えてゴミも多いから、道は必然的に汚くなる。これにはちょっと閉口したけど、えらいもんでこんな交通事情、道路事情にも2日もいれば慣れてしまい、なんとも思わなくなる。道路の横断も現地人に混じってすいすいすい〜っとスムーズにやるようになる。
さすがに痰は吐かないけど。
というところで、つづきはまた次回。